ハチロクへの想い。

86 SACHS WERNHER ヴェルナー ザックスサスペンション

今から約20年ほど前、ドイツ製のSACHSスポーツサスペンションセットを世界で一番売るセールスマンとして全国を飛び回っておりました。東奔西走の全国行脚、、SACHSのサスペンションセット(当時の商品名はSporting kit)を装着したVW-Golf4Gtiデモカー兼営業車でスポーツ性能を上げつつ、長距離移動も快適ですよ。と言ったアピールで自ら走り、体感して製品性能をお伝えして、、そんな長距離移動&超多忙な日々の中、九州の高速道路SAにてトヨタの方からアンケートを受けました。「トヨタのこれから開発、販売されるクルマはどんなのがいいですか?」の問いに「2000GTのようなスポーツカー以外ありませんっ!」と反射的に答えた記憶があります。2000GTの言葉に調査員の方も嬉しそうに「おお!そう、、そうだよねぇー」と、嬉しそうな笑顔になったのもよく覚えております。このアンケート結果から今の86(ハチロク)が誕生したとは思いませんが、開発推進の一端になったと思えば自分の一票に責任があります。そして今から約6年前、FT86conceptの発表と同時に86への取り組み(製品の取り扱い)を静かに決意しました。世界中のSACHS製品販売代理店の中で、誰よりも早くサスペンションセットの開発を依頼し3年前からセールスプロモーションを展開。ドイツ車市場一辺倒だった自分の世界が広がりました。そして1年前に25年以上勤務した前職を円満退社。自分の会社、株式会社ヴェルナーをスタートさせました。86が人生の転期となりました。ドイツ車専門時代の同業者、お客様から「86は面白いのか?」と、会うたびに聞かれます。自分の中にもある彼らの性能基準はドイツ車のベーシック”VW-GOLF”であり現行スポーツモデルは少しのチューニングで400ps以上の動力性能が手に入ります。よく走り、良く曲がり、快適性能も十分で素晴らしパッケージング、、機械、道具としての完成度は180%(出来過ぎの超高性能)。しかし、進化の過程で置いてきてしまった性能がたくさんあるように思います。FFベースで合理化されたプラットフォームのGOLFに対して、縦置きNAエンジン、プロペラシャフトを介してリアに駆動を伝えるFRレイアウト。マニュアルトランスミッション。そして2ドアのクーペボディ。楽しいクルマの基本性能、今最もベーシックなクルマだと私は思います。相対性能は比べる意味がありませんが操る楽しみ、ドライブの本質性能はVW-GOLF以上です。私が子供の頃から書き続けたクルマのカタチはロングノーズ2ドアクーペで三つ子の魂とはよく言いますが今でもその趣味は変わりません。好きなスポーツカーの仕事(スポーツカーで仕事)が出来る事に感謝しつつ、スーパーカーブームから続く自分が受けた自動車文化を発信して下さった先輩方に感謝。そしていい時代に育った自分が受け継ぎ、次に伝える番だと自覚しております。どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます。日々精進。